nous letter
2009年6月24日 14:08

yoji_kobayashi_7.2009.jpg展覧会のご案内がつづきますが、もうひとつお知らせしておきます。

「カメラ小僧(ぼくが勝手にそう呼んでいるだけですが)」こと小林洋治さんの写真展がフランスのパリで開かれます。

テーマは日本の伝統文化における「色」、とくに赤(朱)とのこと。

仕事上のお付き合いを別にしても、小林さんのファンとしてパリに行き、この目で作品を見たい気持ちはいっぱいなのですが、ちょっと無理なので、せめて遠方よりご成功を祈念いたします。

パリは小林さんにとっても縁の深い地で、若き日(?)にジャンヌ・モローやジュリエット・グレコ、フランソワーズ・サガンなどのポートレイトも撮っています。

小林さんはオープンの7月7日から数日は会場にいるそうです。
万が一ちょうどパリにいらっしゃる方、あるいはパリ在住の方がおられましたら、足をお運びください。
会場はポン・ヌフのリボリ通りにあるようです。

Espace Culturel Bertin Poireé presente
Yoji KOBAYASHI photograhies
Exposition : du 7 au 18 juillet 2009
Tel 01 44 76 06 06

7月7日はちょうど先日ご案内した「水の宴」の七夕茶会のある日です。
小林さんは、やはりパリと縁の深い配島さんの作品やポートレイトも撮影したことがあるので、偶然ですが、ちょっと不思議な気もします(ちなみにぼくもパリは好きです)。
パリと東京で、つながった空はどんな表情をみせてくれるのでしょう。

2009年6月22日 12:10

6月4日に常滑INAXライブミュージアムでの個展を終えられた配島庸二さんが、ちょうどその一月後の7月4日から開かれる東京・江古田での現代美術三人展に出品されます。民家の和室をつかった小さな展覧会ですが、ここを起点に想像力が洪水のように、世界の果てまであふれ出るような不思議なひろがりをもった空間構成が期待されます(あいかわらず大袈裟ですが)。

配島さんのほかに、岡野彰夫さんの油絵、川村紗智子さんの陶器作品が展示されます。7月7日には「七夕茶会」が催され、冷水によるお点前が涼を呼びます。
題して『水の宴』。展覧会のコンセプトは私が担当しています。3人の作品からインスパイアされたものです。

テーマは水。水は生命の根源であり、変容の象徴であることから、この時代の大きな変わり目にあたり、ヒンドゥー神話のナーガ(蛇神)とケルト的水の妖精メリュジーヌを召喚しようと目論んでいます。七夕祭りに願い事を書いて飾り付けをする葉竹がナーガに縁のあるものとにらんでおり、メリュジーヌは中世の西フランスの伝説に登場する、蛇に化身する妖精(精霊)のひとつです。どちらも淵源にアミニズムを想起させ、日本の竜神伝説との関連性も感じさせます。

東京の片隅で開かれるこの小さな展覧会が、変化のひとつの「呼び水」とならんことを。

水の宴<現代美術三人展>

2009年7月4日(土)〜7月11日(土)12:00〜18:00
<七夕茶会 7月7日(火)16:00〜>
場所:東京・江古田 ギャラリー 水・土・木(みず・と・き)
(同時開催 倉本陽子展)

水の宴

2009年5月14日 16:15

 前回この欄でご案内した、配島庸二さんの個展を見るため、10日のオープニングに合わせて常滑に行ってきました。私にとってINAXライブミュージアムは2回目です。
 名古屋駅で待ち合わせをした友人と昼食をとってから、名鉄で常滑へ向かいました。常滑の駅からは暑さで滲む汗をぬぐいながら歩きましたが、ミュージアムに着くなり、ゆったりとした涼やかな空間が開けました。2年ほど前に来たときにも感じましたが、敷地内にブリコラージュ風とでもいえばよいか、さまざまな様式の展示棟が点在するこの空間のたたずまいには、さりげない開放感といったものが漂っていてほっとした心持ちになれます。

090514.jpg 配島さんの個展は「やきもの新感覚シリーズ」第76回にあたり、『「配島庸二 展」 ーグーテンベルク炭書・蜜蝋と塩ー 清らかな炭化のかたち』と題されたものです。会場は2つに分かれ、「焼畑考」と「海を孕む」というサブ・テーマのもとに展示が行われています。

 それにしても、これらの作品群について、どんな評言を口にすればよいのでしょう。別に、無理に言わなくともよいのですが、それでも何か感想めいたことの一言でも述べてみたくなるのが編集者としての困った性癖か!?
 
 配島さんの作品を前にしたとき、いつもある種の戸惑いといったものを感じ、意味のある言葉よりも先に「ウッ」と息をつまらせるか、あるいは「ホーッ」と息を吐き出すか、そんな反応しか「まずは」出てこないのは私だけでしょうか。いわゆる“通常”の美術作品のように「美しい!」とか「スゴイ!」とか「カワイイ!」とか、一言で印象を語ることの困難さを誰もが感じるはずです。どの言葉も当てはまるけど、どの言葉もちょっと違うというような。

 しかし、それらの紋切り型の形容詞で言い切れない面を感じるからこそ、視覚を通じて脳の言語野といったものが活性化され、私たちの感性や思考がうごめきはじめると言えるような気もします。つまり、ワンフレーズの言葉によって意識が固定されるのではなく、流動しはじめるのです。
 紋切り型を打破し、新しい時代の感性を切り開こうとするコンセプチュアルな現代美術が、多かれ少なかれそのような企図をもっているとしても、配島さんのクローンド・ビーナスから炭書の連作につながる流れは、その点をきわめて先鋭化しているようにも思います。
 その意味で、というのは作品に批評意識が含まれているという意味でですが、とくにこの「グーテンベルク炭書」と名付けられた作品群は、きわめて自己言及的かつ言語(論)的なものといえるのではないでしょうか。

 すなわち……。炭に焼かれ読むことを禁じられた本。しかも、そのほとんどは縄で縛られており、二重に開くことを禁じられた本。これらの本は、いうなれば「口を封じられて」います。しかし、だからこそ、饒舌なのだとも言えます。なぜか。
 禁じられているといっても、「かろうじて」本の形態を保ち、ソレが本の一種であることが感知される以上、私たちはその読めない本たちを前に、グーテンベルク以来の習性としてそこに何かを必死に読み取ろうとします。鍵をかけられ入ることや覗くことを禁じられたお伽話の「秘密の部屋」のように、封じられ、禁じられているからこそ、読みたいという欲求、覗きたいという欲望が高まる。しかし、読めない。では、どうなるか。

 それは自分のなかに、言葉を探ることへと思いを誘うのです。私たちは、この黒い箱(ブラックボックス)と化し、視覚的に文字を読むことを禁じられた本を前に、できることは“外側”から聞き耳をたてることです。それは自分の“内側”に言葉を探すことへとメカニカルに作用する。しかも、自分の意識のなかに既存の固定された視覚言語(文字)を見つけることはできません。あるとしたら文字以前の“音(声)”の流れとしての言語であり、それは一種の音楽であり、聴覚的なものです。意識はつねに流動しています。
 配島さんの「視覚作品」は抽象か具象かといった範疇を越えて、きわめて聴覚的であり、音楽的であると感じるのはそれゆえでしょう。難解なのではなく、捕まえにくいのです。あるいは、簡単に「わかりやすい」言葉に還元できないからこそ、作品としての「もうひとつの生」を生きはじめているといえるのではないでしょうか。
 高度にメタフォリックな「詩=うた」として、見事これらの炭書は別の次元へとトポロジカルに裏返っているのです。

「焼畑考」と「海を孕む」という本展での新作では、「自然」に対する儀礼性や物語(お伽話)性がさらに強まっているように感じられ、大いに想像力が刺激されますが、あまり急がず、きょうのところは作品と「私」との豊かな沈黙の対話に身をゆだねておきたいと思います。
 本展では、新しく「地層」(時空の堆積)といった言葉(概念)が私の意識に頭をもたげつつあったことだけを最後に述べて、これもひとつの部分的見方にすぎない私的「報告」とします。

 なにはともあれ、なんとも不思議な、これら配島さんの「本」を読んでみてください。これほど多様な読み方のできる本は、またとないでしょう。
 ちなみに、ブックオフでは買えませんよ(^^)。

090514-2.jpg追伸:この日、この個展を縁にお目にかかることのできた方々、いろいろお話をおうかがいできて特別に楽しく愉快な「常滑時間」を過ごすことができました。お礼を申し上げます。


2009年4月 7日 11:28

090407.jpg現代美術家・配島庸二さんの個展が、5月10日(日)から愛知県の常滑で開かれます。「配島庸二展 ----グーテンベルク炭書・蜜蝋と塩---- 清らかな炭化のかたち」と題するもので、本サイトでも何度かご紹介したグーテンベルク炭書の集大成となる展覧会になると思われます。

蛇足ながら、2年前に私たちの企画・編集した『Ars(アルス)』誌2号(石田財団発行)の「グーテンベルクの塩竈焼き」からはじまり、それがこのようなかたちでの発展的展開をみたことはとてもうれしく、誇らしい気持ちがしています。また、同誌1号では、INAXライブミュージアムを紹介したことがあり、不思議な縁のようなものを感じたりもして。

興味のある方はぜひ足を運ばれますよう、ご案内いたします。

INAXライブミュージアム やきもの新感覚シリーズ
配島庸二展 ----グーテンベルク炭書・蜜蝋と塩---- 清らかな炭化のかたち
会期:5月10日(日)〜6月4日(木)*5月20日休館 
 5月10日 17:00〜18:00 アーティストトーク 終了後オープニングパーティ
開館時間:10:00〜17:00
場所:愛知県常滑市奥栄町1−130 INAXライブミュージアム
  第1会場=世界のタイル博物館
  第2会場=陶楽工房

本展では、塩に覆われた本を炭にした『グーテンベルクの塩竈焼き』シリーズをさらに延長した「海を孕む」と、炭化することで土壌改良効果を持つ炭に再生された「焼畑考」の2シリーズで会場が構成されます(INAXライブミュージアム「ニュースリリース」より)。

本サイト(カフェ・ヌース)には、配島さんの常設コーナー『亀甲館だより』もあります。本展に関わらず、ご意見などありましたらコメントをお寄せください。

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戦略的思考を超えて
なんとも息苦しい、鬱々とした社会。いまの世の中を生きるうえで必要なのは、「幸福」について原点から考え直してみることではないか。2300年も前のアリストテレスの思考を、現代社会を視野に入れたうえで、平易に語り直す試みがこの「講演録」である。
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