nous letter
2008年9月10日 15:09

9月5〜7日、東京・青梅でのアリ研(「アリストテレスと現代」研究会)の合宿に参加してきました。

7回目の合宿で、全国から12名の参加者が集まりましたが、回ごとに少しずつ変化があり、それがまた楽しく、勉強になります。
ついつい変わらぬものと変わるもの、なにが変わらずなにが変わるのかというようなことを考えますが、変わるからこそ変わらぬものもだんだん透けて見えてくるようにも感じます。
出会いと別れ、そしてまた出会うということ。再び結びあうことのシアワセ。

ところで今回の合宿は、私流に一言でいえば、アリストテレスと赤塚不二夫とのスリリング(?)な出会いの場だったと総括されます(青梅には赤塚不二夫記念館があります)。
青梅という地での、アリストテレスと天才バカボン(のパパ)との、シュールな出会い。
それが美しかったかどうかは別にしろ、この両者の距離こそが思考の運動をもたらしもするかのような?
アリストテレスは「これでいいのだ」と言ったかどうか?

080910-2.jpg今回は、あまり写真を撮りませんでしたが、取りあえず一枚だけオヒロメして、簡単なギャグ風報告に代えます(毎度のことながら『政治学』読解を中心とした講義は、広範かつ濃密、また斬新で、とても簡単に要約できません。というか要約をはみでる部分にこそこの合宿の真価も、参加することの特権的意義もあるわけで…)。
被写体は参加メンバーのひとりで、バカ田大学の優等生でもありますが、プライバシーに配慮して顔は隠してあります。どこからか「赤い風船」がとんできた?

2008年9月 4日 11:45

きょうは、最近のある一日を日記風に書いてみよう(内輪向けなので、関心ない人はとばしてください)。

先月の29日(金)は、忙しなくはあったが、ちょっとプラトーな(ハイな)おもしろい一日だった。

午前中は、事務所でデスクワーク。企画書など資料作り、ネットでいくつか調べもの。

午後イチから大久保で、来年春に予定されている「恐竜展」のためのミーティング。
展示や図録の構成案などで意見を出し合う。その場で見せてもらった恐竜のラフスケッチ(線画)にいささか興奮。これは、ここ10年くらいの間に南半球で発掘された骨(骨格)に基づき「肉付け」された恐竜たちで、数匹は本邦初! つまり、ほとんど既存のイメージがないため、断片的な化石資料と論文から、学者とイラストレーター、そして編集者やデザイナーなどが議論しながら「絵」にしていく作業工程の一段階である。日本における恐竜学の第一人者T先生の情熱と気配りに、たびたびの感動。
しかし、展覧会の具体的全貌はまだまだ見えない。困難多く、道遠し、といった感じ。

16時ころ途中退席し、本郷へ向かう。アリストテレスと現代研究会(通称アリ研)のアラキトテレスこと荒木先生を迎えに行くためだ。

この日、荒木先生は翌日の早稲田大学でのシンポジウム出席のため、岡山から上京。投宿される本郷のホテルで落ちあい、夜のアリ研の親睦会(ノミ会)会場へお連れしなければならない。しかし、大雨の影響で新幹線に遅れが出ているらしい。携帯に参加者のひとりから「だいじょうぶだろうか、心配」と連絡がはいる。荒木先生は携帯を持っておらずこちらから連絡がとれないので、とにかく、待ち合わせ場所であるホテルまで行ってみるしかない。
昼食をとる時間がなかったので腹がへり、本郷三丁目駅そばのマックで120円のチーズバーガーを買って、パクつきながら徒歩でホテルへ向かう。
荒木先生は予定より遅れはしたが、なんとか会に間に合いそうな時間には到着。先生チェックイン後、急ぎタクシーで会場のある馬喰町へ向かう。秋葉原を通過したとき、どのあたりで「あの事件」が起きたのか?と、アラキトテレスが運転手さんに問いかける。

待ち合わせ場所である食とアートの空間「馬喰町ART+EAT(アートイート)」に出席者がほぼ集合した18時半ころ、近くの「佐原屋」という昭和のなつかしい風情をとどめた居酒屋へ移動。ちょうど「アートイート」では19時から、ピーター・ブルックの劇などで「知る人ぞ知る」音楽家・打楽器奏者の土取利行さんのセミナーがあり、気持ちは半分そっちにひかれはしたが、時間がかさなっていたのでしかたない。廊主であり友人の武さんとあいさつを交わし、8月の間ここで開催中の「ブナ帯文化」の展示に関して、林のり子さんご本人から簡単に解説をいただいて、そこそこに「アートイート」を失礼した次第。

佐原屋2階の広間に集ったのは、アリ研メンバー以外の出席者を含め男女9名。荒木座長、委員長ほか、アーティスト、出版人、編集者、ライター、舞台俳優、社会福祉活動家…、という顔ぶれ。はじめて顏を合わせた方々もいる。それぞれ職業、立場、年齢、性別は多様でありながら、ひとつのテーブルを囲むということでは、多すぎない人数。
話題はギリシャ悲劇からはじまり、『アンティゴネー』の政治学における重要性や、『バッカスの信女』等における「女の狂気」、マニアックとエンスージアスムのちがい、アリストテレスによるポイエーシスとミメーシスをどう理解するか、キューバという地の「小さな国の大きな奇跡」、自然とコミュニティ、民藝における実作者とコレクターの関係、地域活性化と芸能イベント、企画力とプロデュース力、来るべきインフレ社会等々、話はつきもせずブリコラージュして、どれもが興味深く、意義深いものだった。

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Profile

石井 泉/いしい いずみ
東京出身。明治学院大学文学部フランス文学科卒。長きにわたり、出版社、編集プロダクションに在籍、主に科学・芸術関係の雑誌、書籍編集およびデザイン、公共施設の展示プランニング等を手がける。2006年に独立し、「エディション・ヌース」として事務所を開設。科学・芸術・哲学の領域を、横断的な視点で編集・表現していく感性と技を模索しつづけている。最近は依頼に応じてエッセイの執筆なども行う。