無藝荘後日談[1] 『晩春』を観て
先のアリストテレスと現代研究会合宿に関連しての ささやかな後日談を少々
実は やはり蓼科『無藝荘』での小津体験?が気になり 何とかもう一度 じっくりと小津映画を見直してみたいなと思いつつ 今日もふらりと 行きつけの大型書店に立ち寄り 映画本のコーナーなどを眺めていたら なんと其処に「小津安二郎大全集」なるDVD廉価版が置いてありました。
それで、早速購入してきたわけですが その内容は以下の通りです、、、、
『東京物語』『麦秋』『晩春』『父ありき』『風の中の牝鶏』『一人息子』『戸田家の兄妹』『お茶漬けの味』『長屋紳士録』の9作品のDVD9枚が税込で1980円。 販売はコスミック出版です。
映画の版権/著作権のことは良くわかりませんが、最近はこんな廉価版が 流通しているのに 正直 驚いた次第です、、、、、、
どちらにしても、これからの秋の夜長 一作づつ じっくりと鑑賞していきたい と思っています、、、、(2011.9.23)
/// 晩 春 ///
先に御紹介したように小津作品の激安DVDを購入しましたが、先ず最初に『晩春』をじっくり鑑賞しましたので それに関しての感想をアトランダムに以下少々、、、、
<その後、小津関係の情報入手のため『監督小津安二郎』(蓮実重彦/ちくま文庫)、『小津安二郎の反映画』(吉田喜重/岩波現代文庫)の2書を購入いたしましたが、取り敢えず眼を通すのは 年譜・作品目録のみに留めて、わたくし独自の感想を 取り纏めました、、、、、>
〈1〉原作は広津和郎『父と娘』とのことで、まさに父ひとり娘ひとりの最少家族が 娘の結婚により壊れて行くのを非常に巧みに また淡々と描いた秀作です。
〈2〉昭和24年5-9月で撮影 9月封切(当に私の誕生した時)された作品で 当時の日本の状況(敗戦後4年、朝鮮動乱前夜、サンフランシスコ講和以前)をいやがうえにも感じさせる内容だと改めて認識いたしました。
<勿論 あらすじ/ストリーは父と娘を中心とした家庭劇ですが 色々と深読みすれば 時代背景をいやと言うほど感じさせる 作品でもあります、、、>
例として
①道路標識/コカコーラの看板挿入による米軍の占領
②東海道線列車の描写と 下山/三鷹/松川事件
③ゲーリークーパー似のお見合い相手(アメリカの象徴)と仕方なく結婚する娘/原節子(日本の心)=日米同盟
<この見方は少し飛躍しすぎかも知れません、、、、>
〈3〉二階建ての鎌倉の家を主な舞台に物語は展開し、一階に父二階に娘が寝起きする設定ですが そこに置かれた家具(すわり椅子+テーブルのあるなし)が最後まで重要な意味を帯びているように思われます。
〈4〉お茶会のシーンでスタートし、中ほどに能の舞台(主人公二人が鑑賞する)を配し かつ鎌倉の鶴岡八幡宮? 京都の清水寺竜安寺の石庭などを重要な場面に取り入れるなど 将に日本文化・観光案内をも兼ねる映画の造りになっています。
〈5〉冒頭、終幕のほか 主要な場面転換時に挿入される鎌倉近辺の風景が極めて印象的/象徴的な意味合いを持つと思います。
〈6〉原節子はその大柄で派手な風貌から 古風な?一人娘の役柄ではミスキャストかなとも思いますが、笠智衆 杉村春子は将に当たり役で嵌っています。
<どうでも良いことですが、ここでの笠智衆の風貌が何となく文化庁長官の近藤様を彷彿とさせます??、、、、>
〈7〉余りにも典型的/類型的な「父ひとり娘ひとり」の離別の姿ですが随所に娘を嫁がせる父親の心に響くセリフが炸裂し、ある意味でありうべき父と娘を描いた「メルヘン」と言えます。
〈8〉場面のつなぎに無人の部屋を挿入したり 所々に登場人物のどきりとさせる または意味不明/無意味なセリフを言わせたりする小津の演出は、チェホフの4大戯曲を彷彿とさせます。
<独特のユーモアと 不条理劇の味わい、、、、>
〈9〉音楽も、場面場面によく考えられており申し分のない出来栄えです。
<「巌本真理のバイオリン独奏会」など、誠に心憎い扱いです、、、、>
以上 あまりにとりとめのない勝手気ままな感想ですが悪しからず、、、、(2011.9.30)
庵頓亭主人

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