松島沖のウミネコ
nous letter
2008年12月 3日 10:21

ヒロシマで出会った二つの虹

先週末(11月28〜29日)、一泊で広島へ行ってきました。

仕事の関係で、ひろしま美術館を取材するのが目的の駆け足出張でしたが、偶然とはいえ、このところ何気に美術館づいているようで。

雨模様の空の下、広島駅から路面電車に乗り、美術館のある紙屋町へ向かいました。

081203-1.jpgひろしま美術館を見るのははじめてでした。県庁のすぐそばにあり、公園の敷地内に立地していて、方形の壁に囲まれたバウムクーヘンのような形の館は、建物としてもなかなかユニークです。しかし、過剰な自己主張を抑えたその佇まいは心地よく、品のある静けさを湛えていました。周囲の庭の地面を落葉した紅葉が彩り、繊細玄妙な趣を醸し出していました。

フランス印象派を中心とした洋画コレクションはうわさどおりに見事なもので、ゴッホ、ピカソ、マチス、ルオーなどなどのほか、日本人画家の作品もきわめて粒のそろった充実ぶり。私個人としては、ドランやフジタ、そして思いもかけず岡鹿之介の作品に出会えたことは、うれしい驚きでした。全体として、コレクションの質の高さが大原美術館と比べられるのも、たしかに頷けるものでした(初代館長の井藤勲雄は、大原総一郎と交友関係があったようです)。

開館30周年を迎えた美術館にかける思い、今後の抱負などを現館長にお聞きしたあと、中庭に出て展示棟を見上げると、雨はあがっていて、大きな虹が空に架かり、アーチを描いていました(上)。

081203-2.jpg翌日の朝は、原爆ドームとその周辺を見て歩きました。改めて広島は川の街、橋の街であることに思いを寄せながら、平和記念公園の入口まで行きました。空は青く澄みわたり、太陽がまぶしく光を放っていました。公園入口にある噴水を見上げると、やはりそこに虹が出ているのを発見しました。

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Profile

石井 泉/いしい いずみ
東京出身。明治学院大学文学部フランス文学科卒。長きにわたり、出版社、編集プロダクションに在籍、主に科学・芸術関係の雑誌、書籍編集およびデザイン、公共施設の展示プランニング等を手がける。2006年に独立し、「エディション・ヌース」として事務所を開設。科学・芸術・哲学の領域を、横断的な視点で編集・表現していく感性と技を模索しつづけている。最近は依頼に応じてエッセイの執筆なども行う。